コンピュータ技術によって安全を向上させる機能安全規格の普及をはかります。


IEC 61508 第2版


 IEC61508の第2版では、セキュリティー、ASICあるいはソフトウェア自体のリスク分析など新しい技術課題について審議が行われ、2010年4月に制定されました。この改訂で機能安全はまた新たな時代を迎えようとしています。第2版の改訂ではなかでも、ハードウェアの第2部のアーキテクチュア制約について多くの時間が割かれて議論が行われました。


 特に、安全側故障割合に反対意見があることを踏まえて、2つの評価ルートを併記することになりました。即ち、ルート1Hとして、ハードウェアフォールトトレランスと安全側故障割合によるSILの決定、ルート2Hとしてコンポーネントの信頼性データをもとにしたSILの決定とし、どちらかを選択するかは分野規格で述べることにするということになりました。また、近年、多くの産業でASICが使用されるようになったことを踏まえて、ASICのライフサイクルを追加し、ASICやPLDなどの技術・技法が追加されました。


 一方、ソフトウェアの第3部では、既存のソフトウェアを安全関連系に使用する場合を考慮して、現行規格では (1)IEC 61508の開発プロセスに従って開発する、(2)使用実績を考慮するProven in Useの考え方を使う、とされています。しかし改訂版では、(1)をルート1H、(2)をルート2Hと呼び、さらに、安全系に既存のソフトウェアを使用する場合があることを考慮して、ルート3Hとして既存のソフトウェアに対する新たな要求事項が追加されました。


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